宝珠遊戯
13
「―――もしかして、駄目な感じ?」
「………彼には」
うっわ、マジで?!
俺達のせいでアゼルの立場悪くするとか避けたいんだけど!
「――や、でもちょい待ち。無断じゃない筈だって………俺達がココに来た日に、ゼンが何かしに地底界に行ってるし。その内使いが来るからって―――」
ゼンの名前を出した瞬間に、レイヴンがちょっと顔を顰めた。
……何、仲悪いのかよ。
そーいやゼンも妙な事言ってたしなぁ……
「彼奴か。………何か下でも動いているな」
レイヴンが何かを思案するように俺から視線を反らす。
―――やたら長い睫毛が目の下に影を作った。
下っていうのは地底界の事だろうけど……
「――あのさ、アゼルやゼンに関わってんのは、何かマズイのか?」
レイヴンの様子からそんな気がして訊いてみると、言葉を探すように間が空いた。
「………私達守護者の使命は、人間を守る事だ。天族、魔族、精霊族の全てから」
「――んー…ちょっとだけ聞いたけど。それってさ、具体的にナニすんの?」
守るとか云われたって、アゼル達は人間の街に住んでるし、それなりに交流だってしてるらしいのに。
何か危害を加えてるようにも見えない。
「………3族の過度の干渉から守る事だ。彼らの中には、悪戯に人の耐えられる以上の力を与えようとする者が居る」
「……何で?」
「……彼らがその気になれば指一本、動かす事なく殺められる。そんな存在が、自分達の頂点たる帝から加護を受けるのが気に入らないらしいな―――本来持ち得ない力を得た人の行く末は……破滅」
……要するに嫌われてんのか、人間。
嫉妬とか、そんな感じっぽいけど。
「勿論、ほとんどの者達は共存出来ている。だが……人は弱い…」
憂いたように呟くレイヴンの横顔に、俺は何て云うべきなのか解らなかった。
「―――えっと……俺達とかも、実は嫌われてる感じ?」
「………いや。カーディナルは別だ。………だから、余計に厄介なんだ」
極自然に俺の片手を取ったレイヴンが、物憂げに溜め息を溢す。
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