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雪夏塚〜セツゲツカ 姫崎綾華編_第五話 病(その7)
「あ・・・」」

 がくんと頭が落ちたところで、槙人は目を覚ました。早くに病室に来て、うたた寝をしていたらしい。
 懐かしい夢だった。槙人は、自分が家を出た理由を、ようやく見出した。
(そっか・・・帰って、来たんだな)
 完全に忘れていたので、今ここにいるのかが何だか不思議な気がした。

「やっと起きたね」

 その時。
 聞き慣れた声。
 槙人は顔を上げた。

「綾華・・・!」

 綾華が。目を覚ましていた。上半身を起こして、槙人を見つめていた。

「おはよう、お兄ちゃん」
「あ・・・」

 嬉しかった。十日間、本気で心配した。あの時よりも、ずっと。綾香が助かって本当に良かった。
 懐かしい声。思わず抱きしめたくなるくらい、本当に嬉しかった。
 なのに。
 槙人は動けなかった。笑うはずの顔は、凍りついていた。

「綾華・・・」

 呆然と槙人は「それ」を見ていた。
 そして、一言一言。言葉を紡ぎ出す。

「お前・・・その目・・・どうしたんだ?」
「え?」

 そう言われて綾華はそばにあった手鏡で自分の顔を映した。

「な・・・!」

 綾華のその右眼。

「何・・・コレ・・・!」

 それは、銀色に。
 まるで金属のように、冷たい光りを放っていた。


(まだまだあ)


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