食べ足りない(仮題) * . *** あまい 久々に香る、あつい血潮の匂いに ごくりと喉がなった 腹が減りすぎで、ぼんやりして いつまでもうつらうつらと眠りこけていられそうな気分だった そしてとうとう 幻覚ならぬ幻聴ならぬ 幻の臭いまでするようになってしまったのか 口許に肌が、触れて やわらく あつい肌は 血がしたたって、 久方ぶりのごちそうに 思い切り目がカッ開いて 覚醒したのだった。 手を伸ばして、その誰かの手を掴んで 思い切り吸い上げたら 「おい、そろそろ限界だ。」 と女の声がして、スパコーンとしばかれたのだった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |