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食べ足りない(仮題)




「ぁつっ、な?ったたたた!!いたーっ」

情けない声をあげながら、転げ回るそれは よくみれば少年の姿をしていて

音もなく、抜刀した40センチはあるナイフの柄を右手で確かめるように握りしめた。




ぐるるきゅるるるる

と、聞き覚えのある小動物の鳴き声のような腹の虫が聞こえて

いつのまにか転げ回っていた少年は空を見上げ、

「…はら へったー」
蚊の鳴くような声で何かを呟いた後、おとなしくなった。



髪に枯れ草がついたまま、いきなり水を、聖水を浴びせかけた危険人物が居ると言うのに


「…」

赤いドレスの女は、しばらく

相手が油断を誘っているのか、見定めた後

抜き身のナイフを片手に、少し青年に近づき

そばに腰を据えたのだった。



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