ド短編 小間切れ集
細切れトリップ
これは、体質というべきか
一面の砂漠、焼けた砂は容赦無く熱を弾き返し
スコーンと抜けるような青空は、雨粒ひとつ溢す気配もない
マクドナルド片手に、お持ち帰りの袋からゴソゴソとジュースを引っ張り出してすする。
さきほどまで、使いっぱしりで昼飯を買って帰る最中だったのだが
いかんせん、母から受け継いだこの体質のせいで、あと5分は帰れそうにない
亜熱帯の密林から、極寒の永久凍土の大地まで
幼いころから、この身にふりかかるプチ旅行に、いまさら驚きや新鮮味などなく
ひの光が暑すぎるので、リュックからナサだがなんだかの銀色のシートを引っ張り出して被る
さらさらのパウダースノーのような砂は、なかなかに足をとる
日除けになりそうな、緑を遠目に見つけ
のそのそと歩いていく
早くも5分はたったはずなのだが、
どうやら今回は長そうだ。
そのとき 砂に隠れた出っ張りを力一杯蹴飛ばして
痛みに足を抱えれば、その出っ張りはあきらかに、砂に埋もれた 人間で
絶句した。
いままでに、トリップ先で知的生命体にいくらか合ったことはあるが
その生命体の死体を、蹴飛ばした事はない。
ドン引きで後ずさると
蹴飛ばされた事に呻き声を上げた死体は、どうやら生きてるらしき事に気づいて
行き倒れらしき彼を、
だいぶ先にある緑の在るところまで引きずって行ったのは、また別の話である
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!