アクマ
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脇道に反れるとそこは、かび臭い灰色の町並みのスラム。
ムワッとした湿度の高い空気に吐き気がしそうな腐敗臭がしてションベン臭いそこに、いかにも清潔で燃えるような髪をした彼女は目立った
迷うことなく、更に細い道を選んで袋小路で立ち止まる、背後の人の気配に唇に弧を描きゆっくりと振り返る
少々、いやかなりばっちいが、薄皮一枚下の血と肉は同じだ
垢じみた男らはなにか、こちらに下品でエロい事を投げかねたように思ったが、意識を向けたときには白目を向いて膝から崩れ落ち
二三歩、駆け寄ってピクリとも動かないのを確認で蹴飛ばすと、ぐフっと呻いた
それでも目覚める様子はなく…よく呪いが馴染んだようで、それを確認しそばに膝をついた
コイツらはひっそりと後をつけてきたつもりだろうが、人間はくさい
その臭い男等の手を取ると同時に、ぎゅるりと腹がなった。太い血管を探して、二の腕の内側、柔らかい肌に唇を寄せ
嫌々ながら、吸い付く
皮膚をすり抜けて、温かいその血潮だけが喉に滑り落ちていく
ひとくち、それだけでこらえて口を離すと跡には鬱血だけがのこって、キスマークのようだとぼんやり思った
薔薇で、いくらか 腹はくちくしてきたつもりだったが、やはり飢えていたようだ
夢中になって、けれど堪えて少しだけ いただく
その時ふと、風向きが代わって
他の、人間の臭いがした
けれど、L字になったこの袋小路。隠れる場所などないはずなのに
用済みになった、寝転がるそれらを放り出して
しばらく、どうするか考えたが…初めての狩りだ。
少々の問題は気にしないで置こうと、ゆっくりと家路を急ぐ事にした。
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