アクマ
ある看守のぼやいた不平不満と証言、
そうして1分が一秒も進まず、空気が煮こごりになったような雰囲気の中で、正直、もうチビりそうになったとき
「…っは、」
「お断りじゃ。こんッ、ダぁホが。」
悪魔が、悪魔らしからぬ、可愛らしい声で追い剥ぎや山賊のようにドスを聞かせて 吐き捨てた。
あ
死んだ。もうこれ死んだ。
頭の中で警報がカンカン鳴り響き、ちっこい妹やら役に立たん両親やら弟やらがわらわら思い出された。
ごめん、にいちゃん先、逝くかも。
上司からもらったお守りを力一杯握りしめ、思わず走馬灯やらなんやらが頭の中で駆け巡る。しかしその時
貴族の坊っちゃんが、いや若様がゆっくりと膝を折り、いずまいを正して
土下座なすった。
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