アクマ @ 暗い室内、茶色を帯びたオレンジ色の球体の光に照らし出され、堅い表情のセシル様と客人が歩み寄る。これだけ近ければ、結界を解くのはわけない。 意識すればパチンと、結界はシャボン玉のように壊れて消えて、それをセシル様がキョロキョロと不思議そうに見回した。 「ぉ、どした?」 セシル様を抱えなおした客人が問えば、蚊の鳴くように消えたの…と彼女は答えた。 6才児らしい、かわいい声で。 どうやら、この銀髪はよっぽど信頼されているらしい。そりゃそうか、一週間やそこらのーーー… そこまで考えて、はたと気づいた。この嫉妬のような…。 「主どの、」 それに歯噛みしながら、自分の考えをかき消すように声を出す。 「ど、どうした?」 慌てて耳を貸す彼には悪いが、 「牢での私の発言を覚えてらっしゃいますか?」 切羽詰まったように切り出した言葉に、主は不思議そうな顔をした。 [*前][次#] [戻る] |