アクマ
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主のにおいがした、ゆっくりと目を開くと辺りは黄昏を過ぎて宵闇が迫っていた。
チカチカと瞬き始めた星が目に飛び込み飛び起きるが、クラリよろめいて地べたに叩きつけられた。
どうやら、主のベットに寝かされて居たようだ。
力の入らない足を殴り付け、寝台にすがって立ち上がる。足音がして、扉が開くと、少し息を切らした主が居た。
「だっ…」
口を開きかけ、閉じる。
また、叱られた子供のような顔をして
「なんて顔してんですか」
思わず声に笑いが混じってしまった。
それに気づき、驚いた顔をした主に歩み寄ろうと足を踏み出す、が
よろめいて寝台を手放し、受け身も取れず、頬から地べたに崩れ、打ち付けた。
昨日、食べたばっかりなのにその余力を、根こそぎ、持ってかれたようで、ひどい空腹だった。
よっぽどダメダメなヘボい魔術師なのか、あのわざとが効いたのか。
たぶん、答えは両方で
力が入らず震える手足に、起き上がることをあきらめ、突っ伏したままため息を吐けば、駆け寄った主が壊れ物を扱うようにそっと抱き起こし、そのままベットへと運ぼうとする。
「結界を解かないと、セシル様の部屋の前までで良いので連れてってください」
暖かい腕の中、どうにか服を掴んで、情けない顔をした主に言うが
「明日にすればいい、」
の一点張りで、以外に強情な主にベットに下ろされそのまま離れて行きそうなのをどうにかこうにか引き止め食い下がる。
「ヨリ!」
まるで言い含めるように、悪いことをした子を叱るように名前を呼ぶ。
「…、」
しばしのにらみ合い、今にも根負けしそうなったその時、
「…なにしてんのお前ら」
銀髪を揺らしながら、腕の中にセシル様を抱いて現れた客人によって打ちきられたのであった。
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