アクマ 2 *** 某国の王国領の敷地内にある湿原。 そこは生き物の宝庫であり王族専用の狩り場や騎士の鍛練場でもあった。 その灰色の平原の片隅に、王国立の悪魔研究室はあった。いや、研究室というよりは、もはや監獄。 小さい王子、王女は近づくことを諌められ、貴婦人ならば見向きもしない研究室。 しかし魔法使いに騎士に、男の貴族は違った。 そこには魔力を持った悪魔が、封じられ繋がれているからである。 魔力は魔法の源 血や肉、鉱石に輝石や命に魂などを糧に生きる悪魔。 だが、使役すればこれほど役に立つものは無い だが、悪魔を呼ぶのは一苦労である。人間にはもって生まれた魔力がちょびっとはあるが、圧倒的に足りないのである。 何人かで徒党をくんで、ようやく悪魔をこちらの世界に引きずり出せるのであった。 しかし人間はひとつ気がついた、魔力を貯めておける方法を。 物を使うのである。 杖や剣、はては貴金属からケダモノや自分自身の体に。 そうして、百余年(ひゃくよねん)あまりは 引きずり出せる悪魔の質も数も、喜ばしい事にさらに向上し、今や貴族にとって悪魔を侍らすのはステータス。 ましてや社交場に連れ出したり、お茶会に連れ出したり、お飾りとしての悪魔は身近になり、裕福な商人や地主まで手を出せるようになったのでした。 [*前][次#] [戻る] |