マオユウ
02
カツカツと張り出した胸の辺りの鎧を指先でつついて、爪まで白銀に覆われた指先で心臓の辺りを指し示す
「こいつをな、届けに来たんだわぁ」
透かして見えるか?と訪ねれば、ショタもとい魔王のすみれ色の瞳が青く輝いた。
そしてすぐ驚きに目を見開き、勇者の顔とその心臓を何度か交互に見て、言葉を失ったようだった。
それに勇者は苦笑して、何も言わなかった。
また、ゴロリと横になった勇者にチラチラと視線を投げ掛ける魔王。
それに知ってか知らずかなにもいわない勇者。
気まずい雰囲気の中を、風がそよそよと吹き抜け
ようやく魔王が口を開いたのだった。
「なんで?」
どこか拗ねたような声に困惑やら苛立ちににたなにかをにじませて、
勇者は視線をやらないまま腕を枕に空を見上げ草っ原に寝転がりながら、ぽつりぽつり話はじめた。
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