に ょ ろ り
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しばらく、見つめ合ったあと…視線を落とす。
話が耳に入らなかった。
けれど聞かなければと、膝の上の握りしめた拳を睨み付けた。
なぜ、
喉元まで込み上げる疑問をグッとこらえる。
「まず、君の…そうだね、状況を教えてあげよう」
柔らかい声に、眉間にシワがよる。
けれど顔を上げた。
優しい顔が気遣わしげに微笑みながら、言葉を続ける。
「この世界ではね、たまに魂が他所に飛んでってしまう事があるんだよ」
突拍子もない話に、からかっているのか、と頭に血が上りかけて こらえた。
ばかに、
…されては、いない。はず
「それでね、かりによそで肉を得ても、何代かするとその世界から異物として吐き出される」
逆恨みしそうな心を押さえ込んで話を聞くのは忍耐が、とても いる。
そして、異物として吐き出される、という一言に顔を上げた、それは
「その異物が君だったんだ、」
思ってもみない事だった。
もともと、私が?
こちらの人間だと?
思わず立ち上がりそうになって、力の入らない足に気づいた。震えている、
力一杯、手を振り上げて
足を打とうとした時、暖かい手がそれを止めた。
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