朔の夜
終わりよければ全てよし D
「とったぁああああああ!!」
気合いの入った雄叫びをあげたのは『辰巳の宮』の輝一である。
こういう事には手加減知らずな輝一は、そのあまりにも鬼気迫る勢いにより、他を寄せ付けず、札を――畳の一部と一緒にもぎ取った。
“……あっ!? ……”
読み手である天丹はそれを見抜いたが、あえて言わず、汗びっしょりかきながら、
「犬も歩けば……」
と読み出した。
「はいいいぃぃぃぃぃッ!!」
最初の一枚を取られたのが、よほど悔しかったのか、『戌亥の宮』の氷河は術まで使い、即席の腕を作り、札を取った――いや、刺した。
こちらも、畳に穴を開けたが、天丹は見な
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