それは貴方への思い 当日は大騒動 A ここに住まう住人で、こんな静かな声が出せるのはただ一人である。 「……オヤジ……」 「……輝一……」 親子のはずなのだが、改めて向き合うと何を言っていいのか正直、わからなかった。 「……お前らしいな……」 当主の言葉に呆れを感じた輝一は、少しムッとし、 「ナニがだよ!」 「この『心の宮』に濁酒を持ち込むのはお前くらいだ。……まったく、私はお前をそんな子に育てた覚えは無いぞ!」 「育ててねぇだろうが、この放任主義者!」 いきなり嘆き出した当主に、輝一は見事なキレ味でツッコミを入れた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |