それは貴方への思い 伝えたいのは貴方です B 「当主様ですか? いえ、残念ながらお目に掛かってません」 「なら、見掛けたら知らせろ」 「はい、かしこましました」 「すまねぇが、頼んだぞ」 そう言って、輝一は背中を向けた。 その背中が完全に無くなった時、 「……はぁ〜……」 天丹は脱力し、地面に膝をつけた。 「助かりましたのぉ。……うん? ハル殿? ハル殿!」 落ち着いた天丹が傍に立つ、ハルを呼んだ。 だが、ハルは一点を見つめたまま、天丹を振り返ろうともしなかった。 ――答えは初めから出ていた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |