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3月3日の特等席
待ちぼうけ H
父親が遣わす使用人以外は人が寄り付かないため、餓狼坊がここにいる、ということは必然と、

「華藍羅! どうしたんだ?」

「きぃ〜ち〜」

餓狼坊の頭に這い上がってきた華藍羅は恨めしそうな視線を輝一に向け、

「お〜そ〜いぃ!」

重低音の響きでそう言った。

「餓狼坊殿、これは一体、どういう訳でしょうか?」

 居間から出てきた天丹が玄関に赴き、丁寧に礼をしてから餓狼坊にそう訊ねた。

「実は華藍羅様が一週間前から輝一殿宛てに招待状を送ったそうなんですが、一つの返事もなく、しかも当日になってもいらしていないため、心配になりまして、こちらから出向いた、という次第でございます」


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