*二次創作の落書き置き場*
夢幻 *戦国*幸村×くのいち風味*
声がした。
私を呼ぶ声だった気がする。
ただ、それは戦場の喧騒に掻き消され、私の幻聴と錯覚する程度だった。
―幸村様!
かつて共に戦った、あの天真爛漫な女忍者は、今はどうしているのだろう。
お館様が亡くなってから、彼女は姿を消した。
何の断りも、何の説明も無く…
元々、彼女はたった一人で私の前に現れ、たった一人で私についてきた。
使役を強制したわけでも、主従の関係であったわけでもない。
ただ彼女は、私の味方であった。いつも。
彼女が姿を消した時は、ただ自分に言い聞かせた。
彼女は私の配下ではない、と。
あくまでも、彼女は自分の意思で私達に手を貸していただけ。
だから、彼女が唐突に去ったことも、私には止める権利は無いのだと。
土煙と爆音が全てを埋め尽くす。
共に闘った者が次々に倒れ逝くなか、単騎、徳川の本陣に突き進んだ。
豊臣の時代が終わり、徳川の世に移り変わるという、そんな兆しは、愚鈍な私にも十余分に感じ取れた。
最早、私に出来ることは、私の義を貫くのみだと。
身体を貫く銃声は、私の身体を確実に重く苦しめていった。
目の前に討つべき者がいるというのに、私の両の目はいずれ固く閉じてしまうのだろう。
嗚呼、悔しいな。
無念などとは口にしたくはないが、友を失い、胸に残る義すらも消し去られてしまうのなら……
再度、私を貫く銃弾に、遂に膝が落ちた。
土にまみれた兵が、私に刀を振り落とすのが見える。
……嗚呼、申し訳ありません。
お館様、三成殿、兼続殿………
こんな、無様に散る私を、どうか、御許しください。
目を伏せた。
人はもののふ、花は桜木〜っ♪
彼女はそう言って笑って振り返ったな。
ねぇ、幸村様!と。
どんなに苦しい状況でも、彼女の笑みは私を救ってくれていた。
……すまない。くのいち。
最期に願うならば、そなたにもう一度、会いたかった。
幸村様?なぁに昼寝してるんですかーっ?
まだまだ、寝るには早いですょ、幸村様!
目の前に、盾になる様に立った小柄な背中に、私はただ目を見開いた。
「…これは、夢か、くのいち?」
問うと、振り返った彼女は、昔と変わらぬ快活な笑みで私に手を伸ばした。
「さぁっ?確かめてみちゃいます?幸村様!」
にゃはっ、と歯を見せてきた彼女の手を、私はしっかりと取り、立ち上がった。
小さな小さなその手は、酷く温かく感じられた。
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後書
やってしまった、戦国無双話&軽く歴史改竄
『3』未プレイなので、『1』のくのいちちゃんのイメージのままだったんですが………暗っ!!
でも、幸村×くのいちのCPは王道だと言い張ってみる。
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