Story-Teller
X





UC防衛軍の基地に併設された、一般向けの展示館『UC館』。


危機レベルの低い、低エネルギーしか持たない本物の『UC』を展示しているそこは、普段『UC』に触れることの無い国民が正しい知識を得られる様にと作られた施設だ。
『UC』がどの様な歴史を歩んできたか、どの様に人類に貢献出来るかを至極解りやすく説明する展示は、老若男女問わず大勢に利用されている。



平日には団体客や修学旅行生も多く訪れ、休日は体験コーナーに子供達の明るい声が溢れる。


そんな光景を見れば、ただの展示館にしか見えない『UC館』だが、反UC派との小競り合いが起こる場所でもあった。
その為、二十四時間体制で防衛軍の隊員が警備につき、行事時や繁忙期には、戦闘部隊のファースト・フォースが館内の防衛につくこともある。


相楽も何度か警備に着いたことがあり、その異様さは容易に思い出すことが出来る。


一般人が溢れるその館内は、穏やかに見えて実は緊迫していた。


元来『見せしめ』として派手なテロ行為を見せる反UC派からすれば、人が多く集まり、反勢力である日本政府の施設として堂々とそびえる『UC館』は、パフォーマンス的な威嚇行為に打ってつけの場所だ。

そこを攻撃し、『UC』への不満を態度で表すことで、世間へと『UC』の危険さを示すことが出来る、らしい。
人々の『UC』への関心は高く、小さな小競り合いですらマスコミが沸いて大袈裟に取り上げるのだから、自分たちの信条を世間に知らしめたい反UC派にとっては最高の舞台だ。

そういった意味で、昼間でもテロ行為に対しての警戒が厳重だった。









風早は語る。

相楽がファースト・フォースに配属される、およそ一ヶ月前の十一月二十五日。

その『UC館』で起きたテロについてを。



[*前へ][次へ#]

5/16ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!