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決裂の末 -psychology and truth- 本編
淡紅色IV

…その日も、雨が降っていました。

激しい雨だったのにも関わらず、情けない事に私は疲れていて雨の音を感じず、昼頃まで目を覚ましませんでした。

目を覚ました時、寝室にアイが居なかった事に驚きましたが、流石にアイも昼頃までは寝ないだろうと思い、アイの部屋まで寝過ごしたことを謝りに行こうと思いました。

しかし、彼女の部屋のドアを開けた時、



…アイはどこにもいませんでした。



私は咄嗟にパニックを起こして、家中を探しました。…"今思えば、過保護すぎたのかも知れません。"
アイの親が残した屋敷は2人で住むのには広過ぎるなあ、なんて今更な感想も心の中で呟きながら、私は必死に家中を走って探し回りました。


…が、どこにもいないのです。


玄関に行っても、彼女の靴はありませんでした。


もう紛れもない現実です。アイは1人で外に出てしまったのです。
1人で出掛けることの危険さも知らずに。
他人からの視線の冷たさも知らずに。
無知で無垢な彼女は、私をおいて1人で外へ行ってしまいました。

…探しに行かなくては。

そう思いました。
速さには自信があります。何かあってからでは遅いのです。

そして着替えも朝の支度もせずに外へ飛び出そうとする私を、

「…紅?」
「…!!」

アイが止めました。

私は偶然帰ってきた驚きと無事でいてくれたことの嬉しさと何故勝手に外に出てしまうという判断に大しての怒りと悲しさで、心が壊れてしまいそうになりました。

「……」
「…か、勝手に出ていって…ごめんなさい」

言葉も出てこなくてただ呆然とする私に、アイはしっかりと謝罪を述べてくれました。
私も、自分が寝過ごしたことについての非をしっかりと謝らなければなりません。

「…私、も…その…寝坊してしまったので…すみません」
「紅…」

とりあえず雨でびしょ濡れのアイをお風呂に入るよう促し、その後に何故外に出てしまったのか、何をしていたのかを教えてもらいました。

アイの話を聞くによると、私が起きる少し前、屋敷に来訪者がいて、私が寝ていて気付かなかったのでアイが代わりに出た事。
それが道案内についてだった訳で、アイは律儀に案内をしてあげた事。
その間に私が起きて、パニックになってしまっていた事があったのだと。

…全ては私の不注意のせいです。
そう感じたので、改めて彼女に謝りました。

"今だから言えることですが"、私は思い込みが激しい性格だから、アイに迷惑をかけてしまった事をずっと悔やみ、自分はなんて愚かなんだろうと少々病んでしまっていました。ロボットにだってそれ程の感情はあると思います。…私が人間と触れ合い過ぎたせいなのでしょうか。
だから、彼女の衝撃な告白も、あまり耳を傾けていられなかったのです。
それは、私の汚点だと思います。

__アイの他にも、黒以外の髪色の人物を見たと。



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