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決裂の末 -psychology and truth- 本編
淡紅色III

今日は雨でした。

しとしとと降り始めた雨は次第に強くなっていき、私とアイは慌てて外に干していた洗濯物を取り込んでいました。2人分しかない洗濯物はすぐに片付き、ホッと一息つきます。

「ふうー、大丈夫?紅」
「私は大丈夫です!アイは風邪引かないでくださいね」
「あは、大丈夫だよ」

人間とは病弱で、すぐに死んでしまうと教わりました。アイに長生きしてほしい私はいつも彼女の健康状態に気を遣っているつもりです。

洗濯物を仕舞っているうちに雨の勢いは弱くなり、今朝の小雨程度になりました。
アイは相変わらず外を見ています。
そんなアイを見て、私はいいことを思いつきました。

「…アイ」
「ん?」
「外に、出ましょう」
「へ?」

アイは私の突拍子もない発言にきょとんとして、動かなくなる魔法を掛けられてしまったかのように指先まで固まってしまいました。

「…私、外に出て、いいの…?」

漸く口に出たアイの言葉は、まあ、私の予想通りのものでした。

「はい。雨なら帽子を深くかぶれば特に注目される事はないと思います。近所だけでいいので、一緒にお散歩しませんか?」
「……!!!」

アイは驚いた顔からパアっと明るい顔になりました。喋っていないのに表情だけで心情が分かるのは10年前から変わっていません。

「…行く!!行こう!少しでもお外で歩きたい…!」

私はとても嬉しかったのです。
アイの願いを叶えてあげられること。
一緒に外を歩けること。
今思えば、私の自己満足だったのかもしれません。
でも素直に喜ぶアイはとても無邪気で、私はその判断が後に正しく無かったことを知り後悔するのですが__言い出して良かったと思えてしまったのでした。


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