決裂の末 -psychology and truth- 本編 淡紅色 私は人間の子守用ロボットとして生まれて来ました。 かけっこをするために俊敏に作られ、包容力が高くなるよう身長も高めに作られています。 私を引き取るのは女の子がいる家庭なので、私の髪の色は可愛い桃色に染まっています。 最初、その女の子に会うとかなり警戒されました。 当然でしょう。 でも怯えているその子は、馴れると積極的に話しかけてくるようになりました。 「ねえ!あなた、お名前何ていうの?」 「私の名前…ですか?」 「うん!あたし、いづみあいって言うの!アイって呼んでよ」 「私の名前ですか…うーん…」 私は困りました。子守用ロボットなので名前を持たずに生まれてきたのです。 しかし、すぐにいい案が思いつきました。 アイに、名前をつけてもらうのです。 名案だと思いました。だってこれから一緒に過ごすんですもの。 「私の名前、アイが付けてくれませんか?」 「あなたの名前?」 その子は私の突然なお願いに、頭を悩ませます。 少し難しい問題だったかしら。私がそう心配する前に、 「…くれない!あなたの名前は紅よ!だってあたしとお揃いの、赤い瞳を持っているもの!」 アイはとびっきりの笑顔で、そう答えてくれました。 [return][next〕 [戻る] |