[携帯モード] [URL送信]

書物〜Storys〜
7月8日~03
紗葉:「あの、笑わないで下さいね?」
準一:「大丈夫。笑ったりしないから」
紗葉:「はい。私も平日は大原くんと同じような過ごし方ですね」
準一:「まぁ、学生であるからには当然といえば当然だよね」
紗葉:「くすっ、そうですね。それで、お休みの日にはよくお友達とお買い物をして過ごしたりしてます。日によっては、映画を見たりもしますけど、そんなに回数は多くないですね」
準一:「いかにも飯田さんらしい過ごし方でだね」
紗葉:「そうでしょうか?ごめんなさい。何だか面白味のない内容で…」
準一:「別に面白味の有無じゃないって。互いにバラしちゃうのに意味があるんだからさ」
紗葉:「そうですね」

飯田さんが控えめに笑う。俺も釣られて笑ってしまった。
その後、下車駅まで俺と飯田さんはいろいろな話をして過ごした。

◇◇◇

俺達は電車を降り、駅のすぐ近くにある遊園地へと入場した。入場するまではそこまで時間は取られなかったからまだいい。まだいいのだが…。

準一:「いや〜、さすがにすごい人出だな」
紗葉:「そうですね。乗りたいアトラクションから回らないと、大変そうですね」
準一:「そうだね。ところで飯田さんは何か乗りたいアトラクションとかってある?俺はとりあえず今のところは決まってないから、飯田さんが乗りたいのから回ろうよ」
紗葉:「いいんですか?」
準一:「全然構わないよ」
紗葉:「それじゃあ、私、あのジェットコースターに乗りたいです」
準一:「うおっ!?いきなりハードなの来たね」

飯田さんが指差したアトラクションを見て、俺は思わず声を上げた。それも無理からぬことだ。何故ならそのアトラクションは絶叫系のジェットコースタータイプアトラクションなのだが、それがまた何でも世界トップクラスの速度のスタートダッシュが売りのもので、一時期騒がれたものだった。
確かに以前友人等と遊びに来た時に乗ってみたのだが、あまりの激しさに終わった後に物凄くグロッキーになった記憶がある。

準一:「えっと、本当にアレでいいの?」
紗葉:「はい。以前から気になっていたのですが、なかなか来る事が出来なかったものですから」
準一:「オッケー。それじゃあ、そうしようか」
紗葉:「はい。ありがとうございます」

俺のささやかで小さな抵抗は気付かれず、満面の笑顔であっさりと瞬殺され、俺と飯田さんはその超絶ジェットコースターに乗ることとなった。

◎◎◎

結果……。見事に俺はグロッキーになった。
一度乗れば大抵は態勢の付く俺だが、さすがに初っ端からアレは厳しかったようだ。

準一:「おえっ、キモチワル……」
紗葉:「あの、大原くん、大丈夫ですか?」
準一:「う、うん……辛うじて…」
紗葉:「ごめんなさい、私が乗りたいなんて言ったばかりに……」
準一:「いいよ、気にしないで。見た目より辛くはないから」
紗葉:「でも、目の下が青くなってます」
準一:「これは仕様だから……」
紗葉:「あの…仕様とは?」
準一:「飯田さん、気にしたら負けだよ」
紗葉:「え?負けって?」
準一:「とにかく、大丈夫ってこと」
紗葉:「本当の本当に大丈夫ですか?」
準一:「うん。心配してくれてありがとう」

俺が笑顔で言うと、飯田さんが俺は無理をしてるんじゃないかと勘ぐってか念押しをして聞いてくる。俺はもう一度笑顔になると、安心させるように答えた。

[前ページへ][次ページへ]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!