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依頼をどうぞ。


佐助が目を覚ますまで数時間かかった。
忍びの癖にこれだけ寝るなんてどれくらい寝てないんだよ佐助。

おちゃらけたキャラクターを作っているくせに根が真面目だから負担が大きいようだ。


「佐助、おはよう」

目が覚めてぼーっと空を見ている佐助を除き込み狼が声かける。
少しだけ身に纏う雰囲気が和らいだようだ。

「そろそろ行こうか?」
「うん、道中現状を説明するね」

体を起こし、伸ばした手が狼の頭を撫でる。


ぴぃ、と佐助の指笛が響き、佐助の飼っている大きなカラスが降り立ってきた。

「これでひとっ飛びさ」


にこりと笑って佐助は狼を抱え上げカラスに捕まり、館を目指した。




空の上で、佐助は狼にいまわかっていることを全部伝える。

うんうんと頷き情報を頭に叩き込むが、全部聞いた感想は

(うわお、超典型的な可愛こブリっ子の逆ハー主だああぁ)



である。

一番めんどくさい相手だが、そのぶん隙も大きく簡単に崩せるやりやすい相手だ。

しかし、精神力を一番使う。

このタイプは自分が世界の中心だと考えているため、相手をするのも一苦労なのだ。

初めてのこういう類の依頼の相手はこういう奴だった。

任務中に何度ここでとどめを刺してやろうかと思うほど。
残なんながら相方の友に止められてしまったのだが。


そんな前回のことを思い出しながら遠い眼をしている狼に佐助は苦笑をし、この子も苦労をしてるな、を心の中でつぶやいた。



「もうすぐ着くよ」
「ん」


目的地はすぐそこである。









到着し、狼はまずこの館の主、武田信玄に会いに行った。


いつもの任務服では申し訳ない、と引き下がる狼を無理やり抱え上げて佐助が信玄の前へと降り立つ。


「お館様、猿飛佐助、ただいま帰還しました」
「うむ、ごくろう」
「この度ご依頼ありがとうございます。メンバナンバー002狼でございます。依頼内容の全面解決に向かって力を入れてまいります。そのためにお二方のご協力が必要になるのですが、よろしいでしょうか?」

佐助に引き続き挨拶をし、解決案を提案する狼に、信玄は豪快に笑った。

「はっはっは!!久しいな、狼!そんなに堅苦しい口調はお主には似合わんぞ!」

「そんなことわかってるよ!!」


信玄に言われて少し傷つくのだが、気にしないことにしてもう一度問いかける。

「二人の協力を得られるとしていいんだよね?」
「もちろんじゃ」
「当たり前じゃん!」

深くうなづく彼らにほっと、狼は胸をなでおろした。





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