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依頼をどうぞ。
そのいち




久しぶりに、休みをもらった。

ここ最近、ずっと働きっぱなしだから、里帰りでも行ってくればいいと。

里帰り。
そういえば、お世話になっていた砂の里はいまどうなっているのだろうか。

弟のゆうも連れて帰ろうか。


「というわけで魔方陣をだしてくれてもいいんだぜ?」
「お土産は温泉まんじゅうでいいわよ」
「任せろ!いってきます!」
「おー行って来い!」

作り出してもらった魔方陣に飛び込んで、二人の姿は消えた。


「…トラウマしかないとおもっているのは私たちだけ見たいよ、お兄ちゃん」
「…そうだな」








降り立ったのは、なぜか木の葉の門の前。

「…何故?」
「俺ら砂のはずなのに…?」

呆然と大きな門を見上げ二人で確認しあう彼らは、視線を合わせて、

「ま!いっか!とりあえず温泉に入って一楽でラーメンでも食べて!そっから砂に向かうか!」
「そうだね。温泉に入る前に火影様にでも会いに行く?」
「てきとーに歩いてりゃどっかから情報いくだろ。あ、すいませーん!砂の上忍狼と上忍とゆうでーす!!」

元気よく手を挙げて上にいる門番に存在を主張すればあっさりと門が開かれた。

「いや、ありがたいけどさ、これで大丈夫なの木の葉?」
「細かいことはきにしない!さ、行くぞ!」

あまりにもあっさり開きすぎたことに心配と疑問を抱くゆうを笑い飛ばして狼は門をくぐり、温泉を目指した。


さて狼の言うとおり、門番から火影へと連絡が行ったのである。



本当に久しぶりの木の葉は、変わらず活気にあふれていた。
立ち並ぶ屋台の一つからリンゴ飴を購入した狼とゆうは、それを齧りながら木の葉の中を見て回る。
温泉は結局、一汗かいてからにしよう!という事で後回しにされた。
小さな子供が駆け回っている。その子供を追うように大人が走って行って。
ふと、その光景をみたゆうの瞳が細まる。
それに気づいた狼がリンゴ飴を持っていない方のてでそっとゆうの手を握った。
ぎゅ、と小さく握り返される手に、微かに狼の顔も曇った。
そんな二人の背後から誰かが抱きついてきた。

「おやま!そんな暗い顔してどうしたのお二人さん!」
「ひっ?!」
「ちょ、?!やめろカカシさん!」
「いだ!!ヒドイネゆうくん!」

片目を額当てで隠した木の葉の上忍、カカシである。
条件反射でカカシの額にリンゴ飴を叩きつけたゆうに、カカシが涙目で訴えたが、

「あぁもう!兄さんが涙目じゃないですか!なにすんだほんとに!!」

固まったままリンゴ飴を握っている狼に駆け寄っていったため聞いてもらえなかった。
若干涙目になるカカシであるが、上忍が二人もこんなものでいいのか。

「兄さん、大丈夫?」
「…おう」

駆け寄ってきたゆうに返事を返し、またリンゴ飴に齧りつく。
そして、ゆうの手にリンゴ飴がないことに気がついた。

「どうした?リンゴ飴」
「カカシさんに張り付けました」
「食べ物を粗末にするなー」
「てへぺろ」
「いや…俺が、食べるよ…」

カカシが額に張り付いたリンゴ飴を取り、口をつける。
特に口当てを取っている様子も見られないのにリンゴ飴は減っていく。
気になるが気にしていても時間がないのでさっさと先を進むことにした。

「そういえば、二人ともどうしたの?」

二人の横をさりげなく歩きながらカカシが問いかける。

「んー。しばらくお休みなんだ。だから、里帰り」
「ここ砂の里じゃないよ?」

もっともな答えに、かくかくしかじかと説明をする。

「どこに出るかわからないのは難儀だねぇ」
「まったくで」

同情したような言葉に、二人は深く頷いた。










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あきゅろす。
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