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ロー現代パロディ
我が儘? いいえ違います




ローは、大の読書好きです

でもふだんは忙しくてそうそう読めないから、休みが取れると読みふけっちゃうことがあります

すると必然的に、わたしの相手はしてくれなくなるわけで


(ロー、……こっち見てくれないかなあ……)


本を読んでるローもかっこいいけど、わたしはちょっぴり……いいえ、とても寂しいです

だってロー、ゆうべから読みこんでるんだもの

今日がお休みだってわかってるからこそ、なんだけど


(でも……わたしだって、ローとゆっくりできるの久しぶりなのに)


同じ家に住んでても、ゆっくり一緒にいられる時間は貴重なんだよ?

なんて、声には出さずに、ローに文句を言ってみる

もちろん聞こえてはいないんだけどね


(…………買いもの、行こうかな……)


ローが読み終わるまで、まだだいぶかかりそうだし

お昼ごはんはパスタがあるけど、晩ごはんの用意がない


(……よし、ちゃっちゃと買いもの行って帰ってこよう)


もしかしたらロー、わたしが買いものに行っても気づかないかも……なんて考えてたら、また寂しい気持ちが湧いて出てくる

本に負けるなんて、わたし情けないなあ……


(……でも、この時間はローにとっての幸せだもんね)


邪魔しちゃいけないよね、うん


(えーっと、…バッグ、バッグ……)


わたしが、買いもの用のバッグを取りに立ち上がったら


「……どこ行く気だ、なまえ」


ローの声が突然聞こえてきたので、びっくりして飛び上がってしまった

でも振り返ってみると、ローはまだ本に視線を落としてる


『……ロー、その本…読んでたんじゃないの?』

「読んでる」


あれ、やっぱり現在進行形?


「出掛けるのか」

『あ、うん。買いものに行こうかなと』

「後にしろ」

『……え?』


……何か先にしなきゃいけないようなこと、あったっけ?


「何つっ立ってんだ、座れ」


ローの目が、やっとわたしの姿を捉えた

でも……あれ、座るの?


『え、だってロー、本読んでるなら、わたし別に……』

「ここにいろ」


……うん?


『……ここにいるの?』

「読んでる間に、どっか行くんじゃねえ」


……うーん?

それって、どういうことなんでしょう


『……でもロー、ローが本読んでるあいだ、わたしすることがないんだけど』

「じゃあ、そこで寝てろ」


……やっぱり、ここにはいないといけないみたい


『……ねえ、ロー。どうしてもここにいなきゃだめ?』

「駄目だ」


そ、

……即答……

……つまりローは、本を読んでても、ひとりになるのは嫌だってこと?


(……なんか、ちっさい子どもみたい……)


付き合いはわりと長いと思うんだけどな

ローにもこんな可愛い一面があったなんて、知らなかった

なんだか、得した気分だ


『……ねえ、ロー』


わたしはそれで、ちょっと幸せな気持ちになって、にこにこ笑いながらローに声をかけた


「……何だ」


そしたらローは、ちらりと……また一瞬だけ、視線を私に向けてくれた

それだけで幸せを感じちゃうわたしは、もうだいぶローに溺れている

……ううん、正確には


ローに溺れさせられている?


まあ、どっちでもいいんだけど

とりあえず、ローの傍にはいてあげないといけないから


『わたし、ローの隣で寝ててもいい?』


優しいわたしは、あなたに許可を求めます

決してあなたが寂しいんじゃないの、わたしが寂しいのよと、アピールするのです

あながちそれも間違いではないし


そうすればあなたは、ほら

にやりと悪そうな笑みを浮かべて"許して"くれる


わたしから『おねだり』したほうが、あなたはずっとご機嫌だし

ご機嫌なあなたを見れることほど、わたしにとっての幸せもないから

つまり、あなたの『おねだり』でできたわたしの『おねだり』

これは、わたしの最高の幸せをつくってくれるスペシャルなアイテムなのです






『おねだり』上手は、果たしてどちらか



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