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ロー現代パロディ
春が来たなら、「よろしくね」






『あ、ロー』

「……何やってんだ、こんなところで」

『んー……うん、太陽の恵みを感じています』

「……寒くねえか?」

『んーん、風もないし……あったかいよ』

「そうか。…ならいい」

『ローも一緒にどう? お日さまぽかぽか、日光浴』

「……いや、俺はいい。寒い」

『そっか、』


ちょっと残念だな、と思ったけど……ローはすごく細身だから、きっとわたしより寒さがこたえるんだ

もう少し丸みがあっても、ばちは当たらないと思うんだけどな


『ねえねえ、ロー』


すでに室内へ戻ろうとしていたローの背中に呼びかけたら、


「何だ?」


ローはその場でわたしを振り返った


『わたし思うんだけどね、ローはもっと…お肉をつけるべきだよ』

「……それは筋肉の話か、それとも贅肉の話か?」

『ぜいにくー』

「……おまえは、ぽっちゃり体型な俺を見たいのか?」

『違うよ、ぽっちゃりまでいかなくてもいいの』

「じゃあ、どのくらいだ」

『…うーん……もうちょっと、寒さに耐えられるようになるくらい?』


せめて、あばらが浮いてるのが目立たなくなればいいと思うんだけど


「……それは、あと何キロくらい増やせばいいんだ?」

『…え、』


……うーん、

そんな具体的な数字は考えてなかった……

というか、わからないと言った方が正しいのかな

だってそんな、何キロくらいあれば寒くないなんてこと、わたしが知ってるわけないんだから


『……わかんない』


わたしが、ちょっと困ったように答えれば


「だろうな」


ローは笑って、わたしの頭を撫でにくる

まるで子どもだなあ、なんて思ったりもするけれど、でもそれはわたしにとって、幸せな瞬間のひとつ


『……やっぱり今のままでいいよ、ロー』


少し骨ばったローの手を感じながらわたしは、ひとつの解決策を見出だした


「…何でだ?」


ほら、少し不思議そうな顔をした目の前の、そんなあなたに教えてあげよう

なんにもしなくたって、変わるものがある

贅肉増やすより、断然楽なその方法


『うんとね、……春が来たら、ぜんぶ解決してくれるからだよ』








あったかくなれば、万事解決



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あきゅろす。
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