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噂話
とある女の子ととある悪魔が出会うまで 一話


おはよう、こんにちは、こんばんは、初めまして。
あたしの名前は三並河ゆめみ。如月中に通っているどこにでもいる14歳の中学二年生。

「はよーゆめみ」

「…あっ、おはよう由里香!」

あたしとしたことが、すぐに返事ができなかった。運動も勉強も人並み以下のあたしの唯一の良いところ、反射神経もそろそろダメになってきている頃なのか…

いや、ダメになってない。何故ならあたしは今ある一つのことがずっっと気になっていたからだ!言い訳だけど!

「……」

あたしは細い自分の目を活かして見つめている男の子に気付かれないようにその子を盗み見る。
見ているのは二ヶ月前ほどに転入してきた男の子。小鳥遊ひかるくんである。

「…ひかるくん今日もかっこいいよねー!」
「えっ普通に付き合いたいんですけど…」

廊下の方からキャーキャーとそんな声が聞こえる。わざわざ別のクラスからやってきてはあの転入生を見にきているのだ。ご苦労様です。

「…ゆめみもひかるの事きになるの?」

「ンッ!?」

ガタッと大きな音を立てる。一瞬だけみんなが私に注目するが、直ぐにまたそれぞれの会話に戻っていった。びっくりさせられた声の主、由里香はしゃがみながらあたしに話しかける。

「ち、ちがうよ〜!」

「あはは、でもずっと見てたじゃない?わかるよ、かっこいいもんね」

「だから違うって…」

そう。本当に違うのだ。見ていた理由は小鳥遊くんがかっこいいからではない。いやかっこいいんだけど…
…こんなこと言ったらお前総合失調なんじゃね?って言われそうだけど、確かにそこに居るのである。

小鳥遊くんの真後ろにコウモリの翼を生やした外国人さんが!!

「ゆめみ?」

「むむ…」

いや、あたしだって信じられない。確かにこの中学校は変な噂がある。その中にはお化けだの幽霊だの怪奇現象だのそんなのも沢山あるのだ。実際一ヶ月くらい前、2人の男子がパソコン室の前で水浸しになって倒れていたのだから。その男子の片方は行方不明だったわけだし。

だからといってアレはどうなんだ…

キョロキョロと周りを見てもあの外国人さんに気付いてる人はいなさそうで、そこにいる由里香も多分気付いてない。もし気付いてたらあたしに話し掛けてくると思うし。
小鳥遊くんの顔色はいつも通りで前の席にいる誠くんと楽しそうに会話をしている。因み外国人さんもその会話を聞いてクスクス笑っている。

小鳥遊くんも誠くんも全く気付いていない様子だ…

「…遂におかしくなったかあたしの頭よ…」

「また変なこと言ってる」

「だって…由里香あそこに男の人見える?」

コソコソと由里香に耳打ちをする。

「…遂におかしくなった?」

「だから…」

やはり由里香は見えてなかった。
やっぱりあたしの幻覚なのだろうか…だったら早く消えてほしい…













「…この時の筆者の気持ちを考えて見ましょう」

今は4時間目。お昼の匂いが学校中に香ってお腹が鳴る時刻だ。
足りない頭をフル回転させてあたしは授業に励んでいた。
…のは建前で、本当はまだ小鳥遊くんの後ろにいる外国人さんの事をチラチラと見ていた。
だって!数時間経ったら!見えなくなると思ってた!思ってたんだ!
外国人さんはずっとそこにいるし、小鳥遊くんのプリントをたまに見てはニヤついてるし。幻覚にしてはクオリティが高いのでは?と疑問にすら思えてくる。もしかして本当にそこにいるのでは…お化けではなく悪魔…??
いやいやいや何を考えてるんだアニメの見過ぎか?二次元ではありえてもリアルでは流石に…

「…フフ」

(あ、笑った…)

「ん?」

(!!?)

い、今、こっち見た!!本当に見た!!
サッと机の上のプリントに目を移す。あれは幻覚なんかじゃない、本物だ…絶対!
遂に如月中もここまで来たか…転校したくなってきた…
変な恐怖に怯えながらあたしはプリントの残りを終わらせたのだった。




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あきゅろす。
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