噂話
二話
6時間目までずっと席に座り机の上のノートに向かっていたので少しイライラする。体育はないのか…
「ひかる、学校楽しめそうか?」
「…少しだけ」
「少しかよ」
また突っ込まれながら俺は帰りの支度をする。外を眺めると少し薄暗くなっていた。家に着く頃にはもっと暗くなっているだろう。
「さようなら〜」
クラスのみんなの疲れきった声で一斉にバタバタと帰り出す。俺も早く帰ってすぐあの廃墟に行かなければ。
…
家に向かって足を動かす。早くしないと完全に日が落ちてしまう。
そもそも本当に女の幽霊が出るのだろうか?前の学校でも色々な噂を聞き、その場所に行き、見に行ったが、どれも嘘だということがわかってしまった。今回もきっとそうだろう、絶対にいない。
それでも気になってしまう自分が心の隅にいた。
早く帰って準備しよう。
ぱたぱた
ん?
何か後ろに違和感を感じ、俺は振り返った。
…誰もいない。
「気のせいか…」
そして俺はまた前を向き歩き出す。
ぱたぱた
…
また俺は振り返る。誰かの足音がすぐ後ろで聞こえてきた。
誰か、というか、動物の足音みたいだけれど…
「……」
少し、ほんの少し怖くなってしまい俺は走り出した。
家に向かって真っ直ぐに。
しばらくしてやっと家に辿り着いた。こんなに遠い場所にあっただろうか…
ほっとしながら俺は玄関を開け、家に帰った
そして俺は鞄を放り投げ、制服を脱ぎ、すぐさま私服に着替え家を出た。
…またさっきの足音が聞こえてしまうのだろうか。
早足で廃墟に向かう。日が落ちてきている…
早く。早く。早く。
足音の事を考えながら歩いていたら、結構早く着いてしまった。幸い足音は聞こえず、怖い思いをしなくて済んだ。
別に怖いものが嫌いなわけではない。
「ボロボロだな…」
目の前には大きくて白い外装がボロボロの建物が建っていた。もう半分崩れているが。
なんだか一人で入るのは気が引ける…
誰か連れてくればよかった。
廃墟の中にはいろうと一歩踏み込んだ。
!
女の人の声がする。
まじかよ…!
急に恐怖が俺を呑み込んで、硬直してしまった。
そしたら
バサッ
大きな羽音。その音の方向を見ると。
大きなコウモリのような影が空に浮かんでいた。
「うわっ!?」
男らしくない少し高い悲鳴をあげ、俺はバタバタと走り出し、家に向かった。
まずい
本物だ
初めての事に頭が追い付かず、俺は必死に家に向かって走りまくる。
…
夢中になって走っていたら、家に着いていた。重い足をあげ、扉を開ける。
「疲れた…」
部屋のベッドにダイブし、ゆっくりと沈む。
「もう動きたくない…」
そう言いながらも明日の支度をし、夕飯を食べ、風呂に入る。
やっと全部終え、俺はまたベッドに潜った。
「ふぁ…」
欠伸をし、俺は深い眠りに着いた。
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