[携帯モード] [URL送信]

噂話
噂の終わり


その後、俺達は自分の教室に戻り荷物を抱え学校を出た。


















「たーだいまー…」

がちゃり、と玄関の扉を開ける。

そういえば、あの気味の悪い学校にどれくらいいたんだろう。
かなり長く居たように感じたし、元の学校に戻って来たときは丁度下校時間だったよなぁ。




んー…




これ以上考えるのはめんどくさいからやめとこう。
そう思いながら俺は乱雑に靴を脱ぎ捨て自分の部屋へ入った。


「はー…疲れた…」

どすっと大きな音を立てながら机の椅子へ座る。マジで疲れた…

「……」

一ヶ月前の廃墟も、足音も。今回の学校も、幽霊も…
もしかしたらそれ以上のことがこれから待ち受けてるのかもしれない。てかもう起きて欲しくない。
そう考えると体がまた怠くなった。

「もー…めんどくせーよー…」

めんどくさい、という言葉しか今は口に出せなかった。てか、中間の勉強してねえ。それもめんどくさい…



「めんどくさいめんどくさいめんどくさいー!」


ぐるんぐるんと椅子を回しながらそれだけを口に出す。なんか喋るとスッキリする気がするな。










「…喉乾いた」

ゆっくりと椅子から立ち上がり、すたすたと台所へ向かう。

ぱたぱたと足音と立て、廊下を渡る。
にしても暗いなぁ…電気電気。

「あ、あった」

ぱちん、とスイッチを押す。が

「あれ、付かない…」

だめになっちゃったかな…今は家にじいちゃんいないし…
帰るまで待つか。

にしても、電気が無いだけでここまで雰囲気が変わるものか。
多分物音一つしないからだと思うけども。



何秒かして台所に着いた。

ぱちんとそこの電気を着ける。ここは大丈夫みたいだ。

ぼんやりと光る電気の下で、俺は棚からおきにいりのコップを手に持った。

これ使うの何年目だろ。




がたん

と冷蔵庫を開け、お茶を出す。別にジュースとかが嫌いな訳では無い。

このお茶をコップに注ぎ、くいっと口に流し込んだ。




ことん

「はぁ……」

思わず溜息が出る。
…今度はいつ弓人に会えるんだろう。多分誠に言ったら会えると思うんだけれども。
一体どこに住んでるんだあいつは…







「っ……!」

急に右腰に痛みが走る。ビリビリとした嫌な痛みが。

俺はぎゅっとそこを手で押さえ、膝を着く。
なんだこれ。
その部分を見るため、服を捲り確かめる。

「…なにこれ」

なんかよくわからん模様?印?の様な物が刻まれていた。
それは緑色をしていて、菱形と蝙蝠の翼の様なものが一緒になっている模様だった。

…何故かあいつを連想させる模様だな。

まあいい、いつのまにか痛みも治まってるし、ほっといていいかな…

そう思いながら俺は立ち上がったが

「…暗っ」

何故か電気が消えている、もう慣れた。
すたすたと早足で自分の部屋へ向かう。


…廊下暗過ぎ。少し精神削られそうになる。






こつん

「ん?」

何か足に当たった。固い。

俺はその足に当たったものを拾い上げた。
暗い中目を凝らし、それを頑張って見てみると。

「本…?」

それは少し大きめの分厚い本だった。何故に本。てか、さっきまではこんな本置いてなかったよな…

急に怖くなってきた。
俺はさっきよりも早足で、半分走っている速度で廊下を掛けた。








部屋に着いた。

なんか怖いのまた来るんじゃないかと期待してたがそんなの無かった。
なんでこういう時に限って出ないんだ…

俺はまた机に向かい、椅子にどすっと座る。

「……」

椅子に座り、手に持ってる本を眺める。 さっきは暗くてよく見えなかったが、本は深い緑色をしていた。
その本には俺の腰にあった模様と同じ模様が表紙に刻まれていたのだ




…これは……




ちょっと引っ掛かる物があるが、気にしないでおこう。


俺はその本をゆっくりと開く。

「はぁ?」

中身はこの世界の言葉とは思えない文字が規則正しく並んでいた。
どう読めばいいの…?







しばらく思考を凝らして見たが、テスト20点野郎の俺には到底理解できなかった。

もうこれは一番関係あるんじゃなかろうかあいつに見せるしかないな。
そう思い本を机の上にぽんと起き去った。








そういえばもうこんな時間か、そろそろご飯食べて風呂入ってのんびりするか。

…もう廊下に出たくないけど仕方ない、行くか。

俺はたったと足を動かし、また台所へ向かった。








その時、何処からも風が吹いていないのにそっと本が開いたというのにも知らずに。




[*前へ]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!