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噂話
二話


俺は階段を駆け下りる。
正直ああいう怖さはとても苦手だ。

「っ……」

俺は恐怖に駆られ、必死に逃げた。



夢中になって走っていると、理科室と書かれている教室を見つけた。

よかった、これで逃げなくて済む…


がらり



「だ、れも居ない…?」

嘘だ、だって次は理科室での授業だって言ってたじゃないか。

止んでいた恐怖がまたやってくる。

みんな何処にいるんだ…!

俺は顔には出ていないがとても取り乱している。少し理性がぶっ飛びそうだ。


何をすればいいかわからずその場でわたわたしていると







バタン








扉が勢い良く閉まった。

「ぅ…ッ…」

体がびくっと跳ねる。悲鳴を上げてしまいそうな程驚いてしまった。



…こんなところで立ち止まってないで早くここから出なければ。
本能がそう俺に呼び掛けた。




「ほんとさぁ…」





誰かいる…


「君この間も襲われたのにほんと懲りないよねぇ…」


…廃墟の幽霊のことか。
この声俺の周りをぐるぐると回っているような気がする。耳が変になりそうだ。


「…まぁいいや。君もずっとここにいたくないだろう?元の世界に戻してあげるよ」


当たり前だ、と思いながら心の中で少し怯えていた。


ぽん


「……!」

誰かに肩を掴まれた。
その時俺はまた体が跳ねたようで


「怖がらないで、大丈夫だから」


んなこと言われたって怖いもんは怖い。早く戻してくれ…

そう思っていたら、くるりと体を回された。






「あの画面、次見たらもう助けないからね」






あれ?

いつのまにか理科室の前に立っていた。

…さっきの誰もいない理科室はなんだったのだろう。そんな事を考えながらまた理科室の中へと足を運んだ。


「あ、ひかる遅かったな?」

「ごめん誠。ちょっと用事があってさ…」

ほんと、大変な用事だ。

「ふーん、珍しいな」

「そうかぁ?」

俺と誠は同じ机の席に座り、ノートを開く。まだ休み時間だけれども先に準備しておこう。

「あ、そうだ誠」

「なんだ?」

「あの…理科室行く途中にパソコン室あるだろ?」

俺はさっきの出来事の話題を振った。

「…もしかして見たのか?」

察しが早いな。

「そうだ、真っ暗なパソコン室のなか一つだけ真っ赤な画面を映し出してたんだよ」

俺の話を聞いて少し怖かったのか、誠の顔が強張った。

「…想像するだけでも不気味だな」

「だろ?」

というか、こういう話題は大体みんな信じない、もしくは嘘だと言うが誠は違うんだな…

やっぱりあの廃墟の出来事の所為なのかもしれない。

「怖かったか?」

誠は俺にそう問いかけた。
もちろん俺は

「当たり前だろ」

「だよなー、おれは見たくないや…」

俺より怖がりの誠にはキツいだろうな…



にしても俺を助けてくれたあの声…どっかで聞いたような気がするんだよな。



そんな疑問を抱きながら頬杖を着いていると、授業のチャイムが鳴り響いた。




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