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噂話
一話


「はぁ…」

「どうしたんだよひかる」

俺は沈んでいた。

とても沈んでいた。

「だってさぁ…もうすぐ中間だぞ?こんな気持ちにならない方がおかしいっての…」

そう、一週間後中間考査がはじまるのだ。

俺は勉強なんかできないし、提出物だって終わらせる気なんて無い。

「おれはそんな気持ちにならないけどな。むしろどんとこいって感じ」

「誠は勉強できるからいいよなぁー…」

ほんとその誠の頭の中の知識を分けて欲しいぐらいだ。

そんな事を思いながら俺は次の授業の準備をした。


「おい小鳥遊!お前確か噂好きだったよな?ちょっと聞いて欲しいことがあるんだけどさぁ!」

「なんだ?」

クラスメイトの一人の男子、渡が俺に話し掛けてきた。噂か…あの廃墟の噂以来、ずっと噂話は耳に入ってこなかったので久しぶりだ。

「この学校のパソコン室。昼夜構わずに一つだけ画面がついてるパソコンがあるらしいんだよ!」

パソコンか。でもただ画面がついているだけならただの消し忘れなだけかもしれない。

「ただの消し忘れじゃないか?」

「ひかる、学校のパソコンは全部先生が一気に電源を落とすようになっているんだぞ?一つだけついてるだなんてありえない」

誠はそう俺に言った。そう考えると一つだけついてるのはおかしい。

「そうだ、だから小鳥遊に伝えようと思ったんだけど。気になったか?」

「まぁ、気になる」

「だよな!!」

渡は俺が予想通りの反応をしたのが嬉しかったのか、声が高ぶっていた。

「じゃ、また面白いの流れてきたら伝えるからな!!」

「あぁ、よろしくな〜」

俺は軽く返事をし、また机に向かった。





「…なぁひかる、今見に行かないか?」

今か。
また急な話だな。

「今か…」

「だって昼休み始まったばかりだぜ?行くなら今だろ」

それもそうだな。

「よし、じゃあ行くか」

俺は誠に言われるがままに椅子から立った。








「パソコン室ってこっちか?」

「誠は学校内案内されてないから場所わかんないか…こっちだこっち」

俺は誠に手を引かれ、パソコン室に連れて行かれた。





しばらくして、俺達はパソコン室の目の前にやってきた。

「ここか?」

「そ、ここ」

横には上履きを入れるような靴箱が配置されていた。どうやらパソコン室に入るときは上履きを脱がなければいけないようだ。

俺と誠は上履きを脱ぎ靴箱へ入れ、パソコン室に入った。



がらり




「失礼します…」

ぼそりと俺は小さくそう呟き、パソコンが並べられている机の前に立った。

「…特に変わったことはないな」

「だな」

やはりというか、変わったパソコンは無かった。

「仕方ない。行くぞ誠」

「はいよ」

誠は返事をし、俺の後に着いてくる。


俺はパソコン室の扉を閉め、上履きを履き自分達の教室へ戻って行った。













学校のチャイムが鳴り響く。

次の授業は理科だ。
受けたくねぇ、と思いながら俺は教科書のノートを持ち、理科室へ足を運んだ。



「理科室…」

俺は理科室を探し、ぱたぱたと足を動かす。
どっちだったっけ…

早くこの学校にある教室の場所を覚えなくちゃなぁ…

そう思いながら足を動かした。






途中、あのパソコン室の前を通った。

あの噂、実は嘘なんじゃないか?と思っていたところだ。
まぁ噂なんて大体そんなもんだ。別に元から信じてた訳ではない。


そう思いながらも俺はちらり、とパソコン室を覗いた。








「……!」








ひとつだけ、真っ赤な画面を映しながら起動されているパソコンが一台あった。

真っ暗な教室の中、一つだけ…



「ぅ、うわ…」



俺は急に怖くなり、急いで一階に向かった。













そのすぐ後、画面から笑い声が流れただなんて知らずに。



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あきゅろす。
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