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噂話
噂の終わり


…鳥が鳴いている。

朝だ。

「んー…っ」

俺は伸びをしてゆっくりと起き上がる。
昨日のあの疲れの所為で良く眠れたのか、体が軽い。

「今日はゆっくりするか…」

そう言い俺は顔を洗いに洗面所に向かった。








やる事は全部済ませた。

俺はごろん、と部屋の床に寝転がった。
何もない一日ってこんなに平凡なんだな…


でもずっと寝転がってても楽しくはない。
漫画でも読もう。


この間の漫画を手に取り、最後に見たページをめくる。

悪魔。

その言葉が目に入ってきた。

「……」

俺はそっと頬に手を当てる。

まだ舐められた感触が残っている。
はぁ…

今までずっと本や神話でしか見たことも、聞いたこともない生き物に昨日出会ったということにまだ驚いている自分がいた

魔法もこの目で見たのだ。

「凄いよな…」

でもまだ信じられない。ほんとに彼は悪魔なのだろうか?

…次も付き合ってもらおう。

そう考えながら俺は漫画を読み終えた。
次は何をしよう。

そういえば、学校にはまだたくさんの噂で溢れかえっていたはず。

次はどんな噂を見に行こうか。

あんなに怖い目にあってもまだそれを楽しみにしている俺がいた。
危険だとわかっていても、やってしまいたくなるもののだ。

「…病院」

俺はふと呟いた。

学校では廃墟の噂と同じように病院にも幽霊がいるとか。

病院なんてホラーの定番だ。絶対怖いに決まっている。
でも気になってしまうものだ。

よし、決めた。
余裕があればまた誠を誘って噂を見に行こう。

ちょっと楽しみにしながら俺はまた別の漫画を手に取り、読み始めた。

そういえば弓人は何をしているのだろう。
悪魔なんかが人間がわんさかいる世界にいていいのだろうか。

そもそも、どこに住んでいるのだろうか。
それが気になって仕方がなかった。

次会った時にでも聞こう。


はらり


漫画のページをめくる。

魔法、か。
そんな不思議なものがほんとに存在するんだな。

次々と俺の頭の中は疑問で溢れかえる。
どうやって使っているのだろうか。

…今考えてみると、凄い奴と知り合いなんだよな、俺。

学校の奴らに自慢でもしてやろうか。





よく考えれば、悪魔と知り合いなんだって言っても頭可笑しいんじゃないかって思われるだけだな。
やめておこう。



はらり



また学校で誠に会うのが楽しみだ。
会ったら昨日の話や噂話をたくさんしよう。

新しい噂も見つけながら。



俺は少し微笑みながら漫画のページをめくった。











廃墟の噂
終わり



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