♭マリュー&タリア
「重いんだけど」
「酷いわね。乙女に向かってその言葉はないんじゃないの?」
乙女って歳でもないでしょう、とは流石に返せないから俺はその言葉を飲み込んだ。
ソファーに座っていた俺の横を陣取って、肩に頭を預けてくるマリューさんに内心溜め息をつきながらも彼女が甘えてくるのは珍しい事だから邪険に扱う事も出来ずにいる俺の首に背後から回された腕。そっと頬にかかった髪と香る香水でそれが誰かなんてすぐに分かった。というよりは隣にマリューさんがいる以上こんな事をするのは彼女しかいない訳だが。
「タリアさんまでどうしたんですか?」
「あら?何か理由がないとあなたにに甘えてはいけないの?」
「そんな事はないですが……やっぱり心配するじゃないですか。本当に……二人ともどうしたんですか?」
俺の問い掛けに二人は答る素振りは見せない。まぁ黙秘権を行使されるのはいつもの事。俺は諦めて、息を一つ吐いた。不意に首に回された腕が解かれたと思うとタリアさんは空いている方の隣にやってきて、マリューさんと同じように俺の肩に頭を預けてきた。
一体何なんだろう、この状況は。
嫌ではないんだけど。
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