小さな恋のうた
夏休み明け
今日から九月。
気持ちも切り換えて登校した僕だけど、教室の手前の扉から入ると黒板の文字が目にとまり、体が固まってしまった。
『南マチルは男好き。男子生徒しょ君、自分のチンコは自分で守れ!』
その文字がでかでかと黒板の中央に書かれてあって、その回りを『汚い』だの『ホモ』だの悪口で飾られていた。
クラス中に知れ渡ってしまったショックを抱えつつ、僕は黒板消しでそれを綺麗に消すことに専念し、その作業が終わった頃にグンちゃんが教室に入って来た。
目が合うとグンちゃんは一瞬固まった。いつもなら笑顔で「おはよう」って言ってくれてたのに…
軽くペコッと頭を下げてそそくさと自分の席に着くグンちゃん。
この日、
僕はハッキリと日常が変わったんだと実感した
その日からグンちゃんと僕の距離はどんどん離れていった。
グンちゃんは体育係で運動会の準備やクラス対抗リレーの練習のリーダーに選ばれたりと、朝早く学校へ行っては下校時刻ギリギリまで残っているという生活を送っていた。
そのため一緒にしていた登下校も完全にしなくなった
その後の僕はと言えば…
「やめてよ!」
そう言っても聞きやしない…
下校中にからかわれたり悪口言われたり物を投げられたり…
さすがに毎日続くと精神的にきつくなる。
けれど回りの態度は悪い方向にエスカレートしていって…自分でもどうしていいのか分からない。
このまま同じ日が続くのかと思うと嫌になる。
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