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小さな恋のうた
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◆マチルSide◆


困ったことに相川の『寂しがり屋』が発症した。
昨日の花火大会から帰る時から「マチぃ〜」と抱きついて離れない。
今だってそうだ。
僕の部屋だからまだいいけれどご飯食べる時とかに甘えられると両親の目もあって困る。

そして夜。
「一緒にお風呂入りたい」と駄々をこねた。僕の両親は少し鈍感な所があるから「男同士なんだから恥ずかしがるな」と僕が叱られてしまった。でも僕は1人で入った。

お風呂が終わって脱衣室の扉を開けると「マチぃ」と待ち構えていた相川に抱きつかれる。

「甘えるなよ〜」
「むぅ」
「拗ねてもダメ!」

相川急にどうしたんだろう…??




部屋に戻って話を聞くことにした。

「相川、何か不満でもあるの?言わないと僕分からないよ」
「…………」
「…何も言わないって事は何もないんだね?」

すると相川は何かを思いついたように「ぁ」と呟き僕の名前を呼んだ。

「名前…」
「え?」
「名前…読んで」
「……相川?」
「違う!first name!」

ファーストネーム…
って…

「下の名前、って事?」
「そう!俺、エーリ!」
「何で今さら…」
「言って!マチ、言ってよ…っ!!」

相川が言うには『恋人らしくない』そうだ…。
たしかに…そうかも…だけど…。
僕は入学式から相川の事を相川って呼んでるわけだし…。
それにエーリって…なんか女の子っぽい名前で…。
別にいいんだけどさ。名前に惚れた訳じゃないし。

でも僕は本来『カッコいい彼氏』が欲しかったから…やっぱりちょっと複雑だなぁ。

「マチ…ッ!何で、言わないの!?」

あ、ヤバい。
相川が涙目だ。
ん?フレームにヒビが入ってる…昨日古川くんに殴られた時に壊れ…

「マチっ!聞いてる!?」
「ぅ、ゴメン…」




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あきゅろす。
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