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小さな恋のうた
B
まさかの対面に俺はすごく驚いた!(顔にはあまり出ないんだろうけど…)

マチの好きだった男が目の前にいる……!!

「じゃぁ」

俺に軽くお辞儀をすると50はフルカワの所へと駆け戻っていく。その後ろ姿を少し壊れたメガネで確認した。

50とは初めての接触じゃない。初めてマチの家に行ったときに家が分からなくてバス停の近くを犬(しかもマチ似で可愛い!)と散歩している少年に教えてもらった。それがマチが死ぬほど好きだった相手だと知るのは後の話で、その時はただの好青年≠セったからはっきりと覚えてない。

今回だって50だと気づかなければただの好青年≠ナいずれ俺の頭の中から削除される存在だったのに。
不覚にも俺は50に助けられてしかも50の事を良い奴≠ネんて思ったりして…。

…悔しい!!

50に助けられたなんて屈辱だ!!
俺、カッコワルイ…!!
マチにこんな姿、見せられな…


「相川、大丈夫…?」
「っ!」

気づけば後ろから近づいてきていたマチが側まで来て俺を気遣った。


「ゴメンね、僕…っ、怖くて…ヒック、助ける事、できなくて…っ」

マチの目から涙がポロポロ溢れ出る。

「ふ、古川君が…、まさかこの町にいるとは…思わなくて…っ。古川君見たら、体、動かなく…って…」

マチは何度も何度も俺を助けられず立ち尽くしていたことを謝った。

「でも、アイツが…助けに入って、良かったね」

ズキン、
心が痛む。

やめてよマチ。
俺にだってプライドがある。

「じゃなきゃ今頃古川君にボコボコにされてる所だったよ」

マチはそう言うとすでに消えていない50達が去った方向を見て「勇気があって…すごいよね」と呟いた。

その言葉が俺には「やっぱりカッコイイな」っていう気持ちが込もっているように聞こえてものすごく嫌だった。


せっかくの楽しいデートが台無しだ。


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