小さな恋のうた
一方、マチは…
◆マチルSide◆
「さぁ、入っておくれ」
僕は長束先生の部屋に来ている。
先生方専用の寮に入ったのは初めてだ。
豪華でも無く古くも無いその建物にある長束先生の部屋はとてもキレイで、アイツのお姉ちゃんの部屋みたいだった。
「その机の2番の引き出しにBL本が入ってるから、好きなの借りていきたまえよっ☆☆」
「2番目の引き出し…」
僕が長束先生の部屋に来た理由…それはBL本を借りるためだ。
「先生、本…引き出しに入れてるんですか?」
「ソレはね。お気に入りはすぐ手にすることができる距離に置いておきたいから…あ、1番上の引き出しは開けてはダメだよ」
「1番上…?」
「18禁だからね」
「……(//△//)」
それからお茶を飲みながら長束先生はホモ小説とBLは違うとか…
今後注目のBL作家さんとか…
将来のBL業界について熱く語り(長束先生の一方的な講演会?)…
気がつけばとっくに7時を回っていた…
「いけないっ!クニヒロさんの部屋へ行かなければ…!」
「先生…?」
「マチマチっ!他の教師に見つからないように帰っておくれよ?ここは生徒立ち入り禁止なのだから」
……え?
うそぉぉっ!?
「せ…先生ぇ(;△;)」
「僕はクニヒロさんの部屋に侵入して驚かせてそのまま…おっと!これ以上は聞かないでおくれ!それは野暮というものさ♪」
先生は「じゃ」と言い捨てて部屋を出た。
先生…
ひどい…(;_;)
長束先生は本当にいい人だけど、クニヒロさんが絡むと他の事がどうでもよくなるみたいで…それが唯一の欠点だと思う。
…さて、
どうやって帰ろう?
窓から外を覗けば、部活の顧問担当の先生や役員会議で遅くまで学校に残っていた先生たちが寮へと足を運んでいた。
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