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小さな恋のうた
長束先生、語る
「君はいつから臆病になってしまったんだい?」
「臆病…?」
「そうだよ。以前の君…小学生の君は好きな人に『好き』と言えてたろう?」
「あれは…言わずにはいられなかったっていうか…。軽率な行動だったって思ってます」

すると先生は「そうかなぁ?」と首を傾(カシ)げた。

「僕が今、あの頃の君に出会えるのなら、抱き締めて褒め称(タタ)えるね。『よく言った!』って」
「どうして…ですか?」
「人に自分の気持ちを伝えるということは大切な事だろう?『好き』や『嫌い』だけではなく『怒ってます』『悲しいです』『寂しい』『逢いたい』『嬉しい』…。どの感情も僕が感じた事だし、相手に知って貰いたい。知って僕を分かって欲しい。そこから生まれる絆を更に深めたい」


クニヒロさんには特にね、と付け加えて長束先生は続けて喋った。

「結果が全てじゃないだろう?恋愛は特に。残念ながら君の初恋は実らなかったけれど、でも、その代償として大切なものが胸に刻まれたはずさ。それを『傷』だなんて決して思ってはいけないよ」

……大切なもの?

「先生、大切なものって何ですか?」

先生はフフっと笑って「その時君が感じた感情だよ」と教えてくれた。


「僕が…?」
「そう。前に言ったじゃないか。たしか『悲しくて、嫌』『つらい』…違ったかな?」

僕はその通りですと頷く。

「その気持ちを忘れちゃいけないよ。どうも最近、人は『不感症』になってしまったような気がしてならなくてね」
「ふ…!?///」
「おっと?…多感な君には刺激の強い言葉だったかな?僕が言いたいのは性交の病状ではなく、感覚が鈍ったり慣れてしまって感じない『不感症』の事だよ」
「わ、わかってます!」

それならその赤い顔を何とかしたらどうだい?と先生は笑った。

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あきゅろす。
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