†涙目のサディ† 5.見習い魔女(4) 「しょうがないねえ、まあ、久しぶりに顔を見に行ってやるとするかね」 フレイヤはおっくうそうに言いました。 「ありがとうございます。『次の月例会に是非』とのことでした」 「私たちはあまりミレディのことを知らないものですから」 「あたしもよく知ってるわけじゃないけどね」 フレイヤは肩をすくめました。 それからしばらくは、現在の世界状勢や、魔女が置かれている状況などを語り合っていましたが、サディにはわからない単語が多くて、あまり理解できませんでした。 帰るときになって、玄関口でイーディスがサディを見てフレイヤに言いました。 「月例会には是非この子も。フレイヤ様のお弟子にはみんな興味津々ですわ」 「それまでに飛べるようになってたら連れて行くよ」 フレイヤはそっけなく返しました。 「イーディスに聞いたけど、サディちゃんはさっき、空を飛ぶ練習をしていたの?」 エレンが訊ねました。 「はい、でも、まだまったく浮くこともできないんです……あの、エレンさんは?」 「わたし? そうね、わたしも飛べないけど……」 エレンはそっとイーディスが持っているほうきに手を伸ばしました。 すると、ゆっくりと身体が宙に浮きました。 「目が見えないので飛んで回ることは出来ないけど、浮くことは出来るのよ」 「……そうですか」 「あ、あら?」 サディが思いのほか沈んだ声で答えたので、エレンは地に足を着けると首をかしげました。 [前へ][次へ] [戻る] |