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めいん
一日千秋
ごちゅーしーん。

三家で鬱な代物ですよ。

後、グロいのです……。










私達は歪な1つ

何をするにも貴様はうん
何をするにも私は否


だから、無闇に巻き込まれて

だから、後始末がこの上なく大変で


でも、いつも、隣だった貴様。




ワシらはまぁるい1つ


何をするにもお前は仕方なくうん
何をするにもワシはうん


だから、口喧嘩も沢山あったり

だから、仲直りが大変だったり


だけど、いつも、隣のお前。



時は軽やかに回り回りリングを満たす。


やがて、歪な1つはまぁるぃ1つはズレていく。


ワシの隣にお前は居ない
私の隣に貴様は居ない


歩幅はいつのまにか不揃いに
歩む速度は乱れて

とうとう1つは2つになった

別れの言葉は必要ない
別れの言葉なんて聞かせるな


別れの言葉は要らない
別れの言葉なんて欲しくない



私が歩んだ道を貴様が行く
お前が歩んだ道をワシが行く


貴様が来るまで待ってる
お前がたどり着くまで待ってる


千秋の想いで





「会えたでしょうか……?」

あぁ、苦しい。
死ぬのだ。
解っていた。
卜いでそう出ていたのだから、間違いないだろう。
なんたって私は巫なんだから。
震える指先は大量の紅にまみれ、手足は有り得ない方向に曲がっている。近くには最後まで自分を支えてくれた皆さんが居て、ここに宵闇の羽の方が居てくれたなぁって思うもきっと無理なんだなぁと溜め息。

「告白したかったなぁ……」

ごぼりと血の塊が喉から排出される。気に入りの装束もこれでは台無し。
脳裏にふと一つの情景がかすめる。
ん?
あぁ、だから自分はあんな事言ったのだなとぼんやり霞んでいく思考の中で思うのだ。



「一日千秋の想いって素敵だと思いませんか!?」

「去れ、私は機嫌が悪い」

「だって、一日が千もの秋の様な心地で待つだなんてスゴく胸がきゅーん☆となりませんか!?」

「なるものかっ!!私の前で戯れ言を吐くな」

「…………もしかして、誰かをそんな気持ちで待たれた事があるんですか?」

「何故、そう思う?」

「えへっ、巫の力と乙女の勘です☆」

「その力を戦勝の為に利用しろ。私は待つのも待たれた事すらない……」



一度、あらぬ方を向いてとても寂しげな顔をされたあの方。
その後、西軍から離反して東軍についた為真偽の程は解らない。
けれど、

「あれはきっとそうですよね……」

これは巫としての自分でもなく、女の子としての自分でもなく、人として鶴姫として出した答え。
しかしながら、受け取ってくれる人が居ないのが寂しいと言うか如何にも自分らしいと言うか。僅かに雲間から太陽が覗く。
そこへ、よろよろと血みどろの汚れた手を伸ばした。

「会えたんですね」

目の端から温かい物が零れた。
ん?これは……?
考えている暇はなくて。太陽のなかからぐんぐんと黒い点が生じてどんどん大きくなっていく。微かに黒い羽が舞った。

彼女は黒い黒い大好きな人を抱き締めて、意識をふっと手離した。

最初から歪な1つがまぁるい1つが2つだったらこんなくるしい気持ちにはならなかっただろうに、こんなないてもないても足らないような気持ちにはならなかったろうに。




戦場に動くものは彼ただ1つだった。片割れは膝の上で既に事切れている。


「家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康」


片割れの名を呼び続けるも、反応はない。ただ、ひたすら穏やかな面差しで横になっていて。
しかし、その表情は貼り付いて永劫に変わる事はないのだ。

「おい、何故?寝ているのだ?何故?私に殺されるはずではなかったのか?家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康、家康?」


彼は呼び続ける。片割れの青年を、夕陽が背後まで迫る高台の上で。その名がもう意味を成さない事も返事がこないのも知らずに。


動く物がないそこにただ風が凪いでいく。
また、新しい風がふっと生まれた。そよりそよりと男の頬、前髪を揺らして、顛末を見届けたかのように消えていった。
懐かしい彼の陽に溶け込むが如く。



そして、一日千秋の邂逅は果たされる。








思い付いてばっと書きたくなりました……。一応三家ですと主張!膝だっこしとるし。いいですよね?

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