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めいん

※現代設定※です。
普通の三家。
ルームシェアしてます。
しかし短いし、なんか……。
微エロ注意。








時計が八時を鋭く告げた。
共用のリビングが妙に息苦しい。
部屋が徐々に狭くなっているに違いない。
そう感じた。
貴様は本になんて視線を落している。
いつもならつまらない冗談を交えて話し掛けてくる頃合いなのに。
いつもそうだ。
そうやって、不満も全て咀嚼してしまった振りをする。
自室でしろ。
顔なんて見せるな。
そう口だけで呟く。
とてつもなくつまらない部屋。
とてつもなくつまらないチャンネル。
結局、切り出すのは。
あらぬ方に向いたまま。

「随分と大人しいな」

肩が微かに揺れる。
けれど、それもほんの少しの間で

「そうか?」

密やかに閉め出されて。
結局、薄氷をひとっと踏み込むような静寂が尾を引いて訪れる。
好ましくない、好かない、気に障る、感に障る、拒否する、拒絶する、嫌だ…………。
とりとめない喚き。
脳裏に纏わりついて。
侵食されていく。
距離は縮まる所か、きしり。
音を発てながら小さく、確実に離れていく。

部屋は着実に、狭くなっていくのに。
なのに、

「ワシも……すまなかった」

いきなりな謝罪なんて、欲しくない。
怨まれたって良かったのだ。
寧ろ、散りそうなそこの花の様に握り潰してゴミにしてくれるだろうと。


………………否、望んでいたのだ。
呟いて本をもぎ取ると、ぞんざいにソファに押し倒して唇を落とした。
すんなりと今度は手を絡ませてくる。
先程残した痕に柔らかく触れた。
見れば、長針がかちりと無機質に歩を進めていた。
何処から下らない雑音。
こんなにも、酷薄で。
寄せ付けない。
従順な木偶。


密度の薄い木漏れ日の香りを肺に収めながらうつうつと熟睡にも似た肉惑にはまりこむ。
どうやら、部屋の縮小は止まったようだ。
濁った頭の隅で考える。
今は拡散する部屋の中でただ2人きり。
そして、時計が鋭く半を告げた。




ああ、その花の名前は何だったろうか?







拒否しても結局自分から折れるんですよ。ウチの権現さん。
ウチの凶王さんはヤンデレか変態の二択です

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あきゅろす。
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