めいん
サイレントノイズ
※現代設定※
三にょた家←元親
ワシはいや、アタシは酷薄な人間だ。つくづくそう、感じる。
ケータイの着信音が薄暗いロッカールームに流れ続けている。
また、か。少しげんなりしつつも、通話ボタンを押す。
いつもの声。いつものトーン。いつもの文句。適当に相槌を打つと、聞いてないだろ!と拗ねたような甘えた様な声が返ってくる。
可愛いが、うざい。
言うと押し黙ったので、これ幸いと通話を中止した。ケータイを鞄に突っ込み、また鮮やかに流れ始めた着信音はまるで無視して、ロッカールームから出た。
そんな折りだ。
「よっ!家康。休憩か?」
元親が話し掛けて来た。
頷く。
自分の足が向くはずのない食堂に歩を進め始める。
「いや、半日だ」
「半ドンかよっ!今から代われ」
「なら、お前の好きな唐揚げ丼食べれなくなるぞ?」
「食って帰る」
他愛もない会話の最中にまたマナーモードに変えていたケータイから無機質なバイブ音が流れ出す。
「ヲイ、ケータイ鳴ってんぞ」
「いいんだ。どうせ、三成だし」
元親は一瞬目を見開き、そうかと声のトーンを落とした。
「家康……」
唇から落とそうと思った音は、虚に消えていたらしい。
「なんだ?変な顔して」
元親は立ち止まる。
自分の歩も止まった。
「……辛くないのか?」
絞り出すような声は何処か今にも転げ落ちそうな色を放っている。
「何を言っているんだ?アタシはあいつが好きだから一緒になったんだ」
解っていて付き合った。
暗にちらつかせて。
「それでも……」
「そう思ってくれるだけで救われる」
ありがと、変わらぬ白銀の髪をさすると太い指が絡み付く。
「よせ」
甘い拒否の声と指の感覚と何処かに隠れた熱。それの意味を知っている。
知っているからこそ。
「だから、唐揚げ丼お前のおごりだからな!」
ぱっと破顔して見せると、
「ちょっ!待て!いつそんな話になったんだよ」
足はいつのまに動き出していた。
手は離れて感触のみがざわざわと残る。突き放すように見上げた窓からは太陽が高く高く昇っていて。無機質な広い廊下を進めば、もうすぐ目的の場所につく。
真実、酷薄な女なのだアタシは。
彼女はそして鳴り続けるケータイのモードをゆっくりとサイレントに直した。
黒権現降臨。
三成を依存させまくってます。
こんなにょた権現で大 丈 夫 か?
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