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一方、教室を飛び出した夏葉は風紀室を目指して全力で走っていた

もうすぐで授業が始まるので廊下に人気はない



なぜ今まで風紀室に行くという簡単な思考に至らなかったのか

走りながらそんな事を考えていると目指していた扉が見えた



緊張と疲れからくる息切れを整える
ドクドクと脈打つ自分の心臓

流行る気持ちを抑え、琥珀が居る事を祈りながらゆっくりとドアノブを引いた





中には数名の風紀委員がおり、みな驚いた顔でこちらを見ている

しかし今は自分に刺さる視線を気にする余裕もなく
近くに居た風紀委員に詰め寄る


「琥珀、いますか?」


いきなり顔を近づけられ、顔を真っ赤にする風紀委員

夏葉がそわそわしながら返事を待っているにも関わらず硬直した彼は動けない



聞こえていないのか、もう一度聞いてみようか口を開きかけたー

その時、奥の扉が静かに開いた

そちらに目を向けると中から出て来た人物と目が合う


「え、夏葉・・?なんでここに・・・・うわっ」


状況が把握できてない琥珀に夏葉が勢いよく抱きついた

倒れそうになるのを慌てて踏ん張る


なぜここに居るのか、今は授業中ではないのか、と聞きたい事はたくさんあったが

「琥珀っ、琥珀っ」

と、嬉しそうに自分に抱きついている夏葉を見て、久々に会えた事に頬が自然と緩む

そんな委員長を見た風紀委員達はただ唖然とするばかり


「どうした?」


ぽかーんとする自分の部下を気にする様子もなく
夏葉の頭を撫でながら優しい声で聞く


「1週間も、会えなくて・・・寂しかった・・から、来ちゃった」


恥ずかしそうに顔を赤らめて俯く姿はもはや殺人レベルの可愛さで
その場に居た全員が、倒れそうになるのを必死でこらえた






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あきゅろす。
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