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友達





つんつん


夏葉は前の席に座る生徒の背中をつついた
つつかれた生徒が振り返る

真っ赤に染められた髪に赤い瞳
どこか近寄り難い雰囲気を醸し出しているその少年に
夏葉は戸惑う事なく自己紹介をする

「俺、藤夏葉。よろしくね」

そう言ってニコッと微笑むと
振り返った生徒は暫く間を置いてからゆっくりと口を開いた


「ああ、日野樹(ヒノ イツキ)だ。よろしく」

樹が返事をしたことに隣の席から驚きの声が上がった


「へー!日野君が誰かと喋るなんて珍しいね。僕は神楽弥琴(カグラ ミコト)、弥琴って呼んで。よろしくね」

栗色の柔らかそうな髪に同じ色のくりくりとした大きな瞳
まるで少女のように可愛らしい容姿をしていた

「うん、弥琴ね。俺も夏葉でいいよ」

「俺も樹でいい」

「ふふっ 樹ね。りょーかい」

慌てて言う樹が可笑しく笑みを零せば
二人は夏葉の笑顔にみとれてしまった

「どうかした?」

固まる二人に首を傾げて問えば

「う、ううん。何でもないよ」

頬を染めて目を逸らす弥琴と樹








「夏葉あれ分かってやってるのかな?」
「多分分かってないな」
「これからは僕たちが守らなきゃね!」
「お前、楽しそうだな・・・」
「樹君風紀委員でしょ!尚更守らないと!」
「はいはい」


あの後二人がこんな会話をしている事など知らない夏葉は
つい先程友達が、しかも一気に二人も出来た事に喜び
自然と頬が緩んでいるのであった

そしてその顔を見たクラスメイト達は
己の心を必死で鎮めるため授業どころでなかったとか






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あきゅろす。
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