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初登校





「準備おーけー!気合い十分っ」

クリーム色のパンツにミルクティー色のジャケット、
そして学年カラーである赤のネクタイは夏葉にとても似合っていた


教室に進む足取りは軽く
すれ違う生徒が驚きながら振り返って自分を凝視しているなど気づかなかった

学園内は軽くパニック状態である


それもそのはず
この1ヶ月一度も登校していなかったのだから夏葉を見た者がいるはずもなく
加えて超がつくほどの美人とくれば騒ぎにもなるだろう

(友達・・できるかなぁ)

当の本人は騒ぎなど微塵も気にせず呑気にそんなことを考えていた










ガラッ


教室に入ると、全員が目を見開いて夏葉を凝視し
あまりにも突然のことに声がだせずにいた

「え〜と、初めまして。藤夏葉です。よろしくお願いします」


(とりあえず自己紹介してみたけど・・)


しばらくして一人が口を開いた

「も、もしかして”藤の君”・・・?」

「えっ、あの!?」

”藤の君”という言葉にそれぞれが驚きの言葉を口にする

「あの〜”藤の君”って?」

聞き慣れない言葉に近くに居た生徒に話しかけると

「!!??」

その小柄な生徒は倒れてしまった

「え!?ちょっと大丈夫!?」

夏葉はいきなり倒れた生徒を起こして揺するが返事はない


どうしようか困っていると

「あああああの!そ、そいつは俺が保健室に連れて行きますのでっ」

体格のいい生徒が申し出て来た

「そう?ごめんね、ありがとう」

感謝の意味を込め軽く微笑んで俺を言うと
「いいいいいえ!」とどもりながら
顔を真っ赤に染めて足早に教室を出て行った

「あの・・”藤の君”」

その呼びかけに夏葉は先程の疑問を思い出す

「その”藤の君”っていうのは何?」

「ええええと、1年の主席のお方の事ですっ!幻の1年主席とも言われていますですっ!」

(幻のって・・・この1週間でそんなことになってたんだ)

かなり大事になっていることに可笑しさが込み上げてきた

「ふはっ」

ほぼ無意識のうちに笑みを零せば
周りの生徒は数名バタバタと倒れたり慌てて教室をでていったり。






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