[携帯モード] [URL送信]
琥珀side





驚いた

まさかあんなとこで噂のやつに会うなんて







1ヶ月前の入学式、新入生代表は来なかった

毎年新入生の主席には挨拶をするという役目があるため
事前に連絡をしておいたにも関わらずだ

結局代表挨拶は急遽なくなり
不測の事態に全校生徒が騒いだ



風紀を乱すやつは誰であろうとこの俺が許さない
次に会った時は説教だな

そう考え、うるさくなりすぎた全校生徒を沈めに向かった



そう説教をすると決めていたはずなのにあいつは見た瞬間そんな考えは頭の隅に消えた








あの始業式から1ヶ月たった今
俺はいつも通り風紀の見回りをしていた
校舎から少し離れた所にある小さなスペースから
人がいるのか声が聞こえた
その声につられるように、無意識に俺の足は動いた


そこには木漏れ日に反射して銀色に輝く髪を揺らしながら猫と戯れている少年がいた
俺は今までこれほどに奇麗なやつを見た事がない
こいつは本当に人間なのか?
思わずそう言ってしまいそうになるくらい、それほど奇麗で神秘的だった
柄にもなくそう思った


俺が声を掛けると彼は静かに振り返った
その顔はまだ少し幼さの残る、けれど凛としていてとても美しかった
彼と目が合った瞬間、エメラルドグリーンの双眸に吸い込まれるように目が離せなかった
俺達が居るこの空間だけが別世界のようなそんな錯覚に陥った


心臓の心拍数が上がりどくどくど早打つ

手にはじわりと汗が滲んだ

俺はなぜか緊張していたんだ


冷酷だ非道だと言われるこの"俺"が



けれど俺は彼の名前も、学年すら知らない
名前を聞こうと口を開きかけたとき彼の声が耳に入って来た



驚いた、彼は俺の事を知らないのか
自慢ではないが役職柄この学園の生徒は当然のように俺の事を知っていると思っていた
同時にますます彼のことが気になった


自分の名前を言って彼の名前を聞いた

『藤夏葉』俺はその名前に聞き覚えがあった


そうか、こいつが

”藤の君”






[*←][→#]

4/19ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!