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「あの〜、どなたですか?」
木漏れ日に照らされ輝く銀色の髪を揺らしながら夏葉が尋ねる
「俺のこと知らないのか・・?」
夏葉の問いに琥珀は更に驚く
決して自惚れ等ではない
風紀委員長の自分を知らない者などこの学園には居ないと思っていたからだ
しかし夏葉は一度も学校へ行っていない為知るはずも無い
「俺は、風紀委員長の岩撫琥珀だ」
「風紀委員長・・・」
「お前は誰だ?」
琥珀ははやる気持ちを抑え夏葉に問いかける
「俺は、藤夏葉です」
「藤・・そうか、お前が・・・」
琥珀はその名前を聞いてピンときた
彼が”藤の君”だと
「あの、どうかしましたか?」
黙り込む琥珀が心配になり声をかけてみる
「いや何でもない。それよりお前一度も登校していないだろう。何故だ?」
立場上このことは見逃せない
「え〜っと、入学式は寝坊しちゃって起きたらもう終わってたんです。
その時に見つけたのがこの場所で、父さんが僕は主席だから授業免除があるよって言ってたのでそれだったらマシュマロと一緒に居たいな〜って・・・」
気がついたら1ヶ月も通ってしまいました、と罰が悪そうに言った
「ぶっ」
すると一瞬間を置いて琥珀が吹き出した
「くっ・・ははははは」
「今の笑うところじゃないとおもうんですけど・・・」
夏葉がむくれて言うと
「わりぃ。つい、な」
琥珀は笑いながら言った
「でもそろそろ登校した方がいいんじゃねえか?」
「そ、ですよね」
「授業免除っつってもずっと休んでる訳にもいかねえだろ」
「はい。これからはちゃんと通いますそれに食堂も行ってみたいですし!」
食堂目当てかよ、とまた笑いそうになったのを堪え
明日から学園が騒がしくなるなと思った
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