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君と春を感じる





僕は桜が好きだ

でも、嫌いだ

奇麗に花を咲かせるけれど風が吹けばどんどん散ってゆく

咲いている期間はほんの僅か

決められた期間しか生きる事が出来ない

まるで僕を見てるみたい







そういえば言ってなかったけど僕には恋人がいる
今、待ち合わせをしている人物だ
学園にはこのことは内緒

向こうから人陰が見えた
僕はその人を見て笑みが溢れる

「わり、待ったか?」

「ううん、僕も今来た所だよ」

ありきたりな会話
本当は1時間くらい前に来てた
大好きな人を一目でも早く見たかったから

僕の恋人はこの学園の生徒会長、西園寺來臥
中等部から生徒会長をやっている
濡れ羽色の髪に切れ長の黒曜石のような瞳
彫刻像のように奇麗な容姿
立っているだけで存在感のある人だ
僕とはなにもかもが次元の違う世界に住んでいる人で、今でも恋人なのが信じられない

「奇麗だな」

來臥が僕の髪を指に絡ませ撫でた
そんなの、來臥の方が奇麗だ

「來臥こそ」

僕も來臥の奇麗な黒髪に触れた
春の陽が眩しくて目を細めた
瞬間に唇に触れる柔らかいもの

「んっ・・・」

ちゅ、とリップ音をたててゆっくり離れる
ペロリと自分の唇を舐める姿はとても妖艶だ
風が吹いて桜の花びらが頬をかすめた


大切なひとと穏やかな春を感じた4月の日






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