雲一つない快晴、ジリジリと照りつける太陽が冬の寒さを吹き飛ばしてくれる。 今の時間は昼休み。 あたしはいつもの如く、屋上にある貯水タンクの上に登り、仰向けに寝転んでいた。少しだけ肌寒い、それでも太陽の陽気に照らされ心地良い。 ふぁ〜と大きな欠伸をすると、眠気がどっと押し寄せた。 「寝たらあかんよ?」 ぼーっと空を眺めていると隣から声が聞こえて寝返りを打つ。 『シゲも寝よーよ』 「授業遅れんで?」 『シゲからそんな真面目なセリフ聞けると思わなかった』 声の主は同じクラスの佐藤成樹で、あたしの左隣にどかっと座り込んだシゲはあたしに満面の笑みを向けてから空を見上げる。たまにこうしてやってきては一緒に日光浴するシゲ。 「気持ち良いわ」 目を瞑って大きく深呼吸をしたシゲは、右手を伸ばしあたしの髪を指に絡めながら、あたしに向けて微笑んだ。 「髪、綺麗やね」 『シゲの髪は傷んでるよね、色抜いてるし』 「これ地毛やって」 左手で自分の髪を摘みながらあたしに見せるようにして「な?」と聞く。 『嘘吐き』 「あは、バレた?」 『バレないわけないでしょ』 シゲは「バレてへんと思うたんやけどなー」とか言いながらあたしの髪を撫でた。 『シゲ』 「ん?」 『呼んだだけ』 あたしはクスクスと笑いながら右手を空にかざす。指の間からこぼれる光が眩しい。 するとシゲの顔があたしとあたしの右手の間に入りその光を遮った。 「好き」 『ん?』 「言っただけや」 シゲがそう言ってクスクス笑う。 あたしは近づいてくるシゲに微笑んで瞳を閉じた。 ちゅっ。 これがあたしたちの始まり。 かざしたてのひら (そろそろ教室行かん?)(キーンコーンカーンコーン)((………))(サボっちゃおっか)(…賛成) [*前へ] |