妄執教師
たった1人の観客
「ん…はぁ…あっ」
目隠しをされた真っ暗な世界で、長瀬 孝司(ナガセ コウジ)はベッドに腰掛け、自慰をしていた。
自ら脚を開き、目の前の人物に見せつけるように、ゆっくりと時間を掛けて自らのものを高めていく。
衣服を与えられない孝司の身体は、孝司自身が勃ち上がっていくと同時に、仄かに色づき始めた。
「あっ…は…んんっ」
元来性欲が薄い孝司の自慰は、技術がないことが一目で分かるほど拙いものであった。
しかしこの半月で以前とは比べものにならないほど、孝司は性に溺れていた。
「…や、ぁん…さとし…」
自身を扱く孝司の手のスピードが上がる。孝司の好きな所をあの人の手つきを真似て、丹念に刺激した。自分を見てくれている人を想うと、自然に頬が赤らむ。
呼吸の間隔が短くなり張りつめていた自身は、やがて解放の時を向かえた。
「…っああ!!」
勢い良く孝司の手に自身の精液が放たれる。最後の一滴まで絞り出して、その白液を飲み干す。指についたものまで、全て舐めとって終了。
一連の流れは孝司のパフォーマンスなのだ。
観客はたった1人。
目の前の椅子に座り、背もたれに身体を預け、優雅に足を組む男。
孝司を監禁した張本人、仁科 智(ニシナ サトシ)であった。
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